大阪セカンドシンデレラ



『連れて行ってくれた大阪城は絶対忘れへん。』



『もし、僕に出来る事があれば何でも言ってな。僕は美紀ちゃんの為になるなら何でもしたい。』



『僕はずっと応援してるからな、美紀ちゃんの恋。』



応援してくれるって言ってくれたのに…。



『美紀ちゃんは僕の大切な親友だから!』



そう言ってくれたのに…。



『智樹君。君はこれからもっともっと未来へと羽ばたかなアカン子や。』



そう、智君には未来があるのに…。



「美紀、どうしたん?」



ゆかちゃんが私の異変に気付いたようだ。



『もしもし、もしもし?』



智君の母親の声が電話口から微かに聞こえる。


人間って、突然悲しみが振りかかった時って涙を流さないんだね。


実感が湧かないからかな?


それとも、気持ちが無意識に拒否しているからかな?


余りにも衝撃過ぎるからかな?


でも、ゴメン。


涙を流さないなんて嘘。



「何で泣いてるんや?」



ハンカチを差し出すゆかちゃんの顔を見た途端、私の悲しみの糸がぷっつりと切れた。


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