大阪セカンドシンデレラ
15、新太郎さん
「携帯…、鳴ってるで。」
正直、携帯に出る気分ではなかったが、ゆかちゃんの問いかけを無視するのも悪いと思い、ゆっくりと手に取った。
その名前を見て私はさらに涙が溢れた。
「新太郎さん…。」
ずっと震える携帯。
「ちょっと体動かすか。」
独り言を呟き、その場を離れて私が携帯を出やすくするゆかちゃん。
「もし、もし…。」
『美紀、ちゃん…。』
私がかなりの涙声で電話に出たからだろう。
新太郎さんの声から申し訳ない気持ちが伝わってきた。
『今…、大丈夫?』
「うん…。」
『智君の事…。』
「うん…。」
『美紀ちゃん悲しんでいると思って…。』
「あ、ありがとう…。」
私を心配してくれる気持ちだけで嬉しかった。