大阪セカンドシンデレラ
「お兄ちゃん、あの日、美紀ちゃんからの電話を切った後、急に真剣な顔になってね。どこに行くの?って聞いたら、美紀ちゃんの所に行かないと、って。」
「お、おい、止めろよ。」
「いいじゃない。」
少し顔を赤くして右手で麻衣ちゃんを制する新太郎さんだったが、麻衣ちゃんはお構いなく話を続けた。
「美紀ちゃん、智君が亡くなってきっと辛い思いしているから、俺が助けないと、って飛び出して行ったんだよ。」
あの日。
私が智君の死を知り、公園で悲しみに沈んでいた日。
『今すぐ来て欲しい…。』
私の嫉妬。
私の我が儘。
愛と言う名の我が儘。
その全てを受け止めてくれた日。
新太郎さんが真剣な目で愛してると包み込んでくれた日。
「俺…、ちょっとお手洗いに行ってくる。」
新太郎さんは恥ずかしさのあまりベンチを立つと小走りに去って行った。
その背中を眺めながら、自然と嬉しさが込み上げる。