大阪セカンドシンデレラ
「私はあべのハルカスより通天閣の方が好きなの!」
「ふーん。」
少年は納得していない様子。
あべのハルカス。
2013年に完成した、60階建て、地上300メートルの日本で最も高い超高層ビル。
対して、通天閣は地上100メートル。
しかし、通天閣は100年も前から大阪のシンボルとして親しまれている。
「一度昇ってみたいなぁ、あべのハルカス。」
少年は少しずつ私から離れると、くるりとあべのハルカスに体を向けた。
智君…。
その少年、智君はあべのハルカスに昇った事がない。
それどころか、通天閣にも、いや、この公園から半径数キロ圏内から出た事が無い。
何故なら、車椅子だから。
私が智君と出会ったのは今から約半年ほど前。
私は高校1年生、16歳。
智君は小学3年生、9歳。
私は中学時代から時間があればこの公園で通天閣を描いている。
もう100枚以上、同じような通天閣を描いている。
ある日、いつものように絵を描いていたら、ふと気配を感じた。