大阪セカンドシンデレラ



「何で服とかエプロンとか全部黄色なん?」



その言葉にゆかちゃんはすかさず胸を張った。



「そんなん、阪神ファンやからに決まってるやろ!」



「あ、僕も阪神ファン!」



ゆかちゃんと智君は目を合わせてニヤリと笑い合う。



「今年こそ優勝やで!」



「当たり前やろ!」



「美紀ちゃんも当然阪神ファンやろ?」



2人の4つの目が同時に見つめてくる。


私は両手を大きく広げて首をかしげた。



「私は野球さっぱり分からん。」



「智君、ええねん。恋煩いしている奴はほっといたらええねん。」



「そやな。」



野球を知らない事と、恋煩いは関係ないと思うが…。


呆気にとられる私の前でひたすらゆかちゃんと智君は阪神タイガースの話で盛り上がる。


2人はすっかり意気投合してしまった。


それにしても…。


自然に笑顔になれる。


良かった…。


連れて来て良かった…。


何だか…、救われた気がした。



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