大阪セカンドシンデレラ
「美紀ちゃんの恋愛、上手く行くとええな。」
体の震えを誤魔化すように問いかけてくる。
私は独り言のように智君の背中に向かって小さく呟いた。
「実はね、まだ2回しか会ってないんだ。」
「…。」
「2回しか会ってないけど、とても優しくて惹きこまれるの。でもね、家の事が大変そうで、恋愛とか、そんな感じじゃないし。」
「…。」
「何だか自分の中でもやもやしていてな。大変そうなのに、私の気持ちを一方的に伝えるのも迷惑かなって。だから、今は言えない。好きって言えない。でも好きな気持ちがどんどん膨らんでいく。正直に言うとね、智君をゆかちゃんの店に連れて行ったのは、私自身の気持ちをすっきりさせれるかもしれないって思ったからやねん。だって、ゆかちゃんも智君も私にとっては大切な友達やから。ゴメンな。自分に都合のいい事して。」
「…とう。」
智君の小さな声が聞こえた。
「えっ?」
「ありがとう。」
「智君…。」
智君が急に振り返った。
「もし、僕に出来る事があれば何でも言ってな。僕は美紀ちゃんの為になるなら何でもしたい。だって…。」
智君のとびきりの笑顔。
「美紀ちゃんは僕の大切な親友だから!」
「そんな…。」
智君…、こちらこそありがとう。