大阪セカンドシンデレラ
「お姉さん、絵、上手だね。」
屈託のない笑顔で話しかけて来てくれた。
しかし、私はその明るい笑顔とは対照的に、車椅子である事に切なさを感じたのが第一印象だった。
それから数日に一度の割合で顔を合わせるようになった。
次第に打ち解け合い、智樹と名前を教えて貰ったので智君と呼ぶようになった。
智君は美紀ちゃんと呼んでくれるようになった。
智君は物心つく前から病気を抱えている為、ずっと車椅子生活。
同世代の子供達のように走り回ったり、学校に行けない為、友達が1人もいなかった。
「美紀ちゃんが僕の初めての友達やねん。」
その言葉の嬉しさと重みはずっと忘れられない。
けれど、病気を抱えている事に憐れみを感じては失礼だと思い、普通の友達と同じように接している。
「智君はあべのハルカスに昇りたいん?通天閣は?」
今度は車椅子ごと通天閣に体を向けて、智君は答えた。
「通天閣も昇りたい、大阪城も昇りたい。空中庭園も昇りたいよ。」
「智君…。」
思わず、切ない声で反応してしまうと、智君は笑顔でこちらを向いてくる。
「でもええねん。こうやって外から眺めれるだけでもありがたいと思わんと。」