大阪セカンドシンデレラ
自分の絵をコンテストに出品させると決まってから、私は今まで以上にジッと通天閣を眺める日々が続いていた。
ただ単に通天閣が好きなだけで、誰かの為や、誰かに見せようと思って描いた事無いからなぁ…。
取りあえず描いてみるか、と色鉛筆を進めて行くが、何となく自分の思っているように描けない。
これがスランプというものか…。
「あーあ。」
色鉛筆を投げ出し、勢いよくベンチの背もたれに体を預ける。
「苦しんでいる時に限って、新太郎さんや智君にも会えなんだよなぁ~。」
目の前を雀の親子が楽しそうに飛び回っている。
「私って、通天閣やハルカスばかり見ているから、空って見ているようで全然見ていないな…。」
ぼんやりと空を眺めていると、とても気分転換になりホッと心を落ち着かせる事が出来た。
「とりあえず、いつものように描いてみるか。」