大阪セカンドシンデレラ
「僕、電車乗るの、何年ぶりやろ?」
通過する電車をその都度目で追いかける。
智君…、普段は立派でも、子供っぽい所もあるよね…。
その背中を見ていると幸せを感じる。
ほどなく内回りの大阪方面の電車が入ってきた。
「ちょっと待って下さいね。」
先程、改札で案内してくれた駅員さんがやって来て、扉が開くと同時に電車に乗りやすいように簡易型のスロープを敷いてくれた。
「駅員さん、ありがとう!」
「すみません、ありがとうございます。」
智君と2人でお礼を言うと、駅員さんはニコニコと手を振ってくれた。
「こちらこそ、JRにご乗車ありがとうございます。」
心が晴れやかな気がした。
「何、ニヤニヤしてるん?」
いつの間にか智君が振り返っていた。
「ん?何でもないよ。」