大阪セカンドシンデレラ



電車に乗ると、車両の連結部分近くに座席のない、広めの車椅子スペースがある。


しっかりとブレーキをかけて車椅子スペースに固定する。



『次は天王寺、天王寺。』



すぐに天王寺駅に到着した。


この駅は、和歌山方面や奈良方面へ行く電車との分岐点でもあり、桜で有名な吉野方面へ向かう近鉄電車の乗換駅でもある。


そして何よりあべのハルカスと直結している駅でもある為、かなりの乗客が降りて行き、そして乗り込んできた。


車内はそれほど混雑していなかったが、なるべく他の乗客の邪魔にならないように車椅子スペースの端に寄せていた。



『扉が閉まります。ご注意下さい。』



アナウンスと共に、扉が閉まりかけたその時。


突然、1人の女性が電車の中に飛び込んできた。


体で閉まる扉をせき止める。



「さ、先生。どうぞ。」



白髪の高貴な雰囲気を漂わせる初老の女性がマイペースにゆっくりとせき止めている女性に会釈して電車に乗り込んできた。



「ありがとうございます。」



「間に合ったわぁ。」



「ギリギリセーフやな。」



アウトやって。



「先生、良かったですね。」



先生と呼ばれる女性を挟んで、濃い目の化粧をしている女性2人がニコニコとしている。


その女性2人も見るからにそれなりの年齢のようだ。


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