大阪セカンドシンデレラ
何かの式典か展示会に出席するのか、3人共かなりお洒落な服装をしている。
どれだけ綺麗な服を着ていても、中身が伴わなかったらアカンわ。
私も気を付けよ。
私は少しムッとしたのだが、関わると面倒だと思い背を向けていた。
「座席、一杯やな。」
「ちょっと見て。優先座席に若い人座ってるわ。」
先生の“しもべ”2人のコソコソと話す声が聞こえる。
私の左側の窓際に優先座席があり、確かに若い女性が座っている。
「優先座席はお年寄りの席やのに常識知らずやわぁ。」
「ゆとり世代やからよ。」
「ゆとり世代ってホンマ使えん奴多いもんな。」
「そうそう、私の仕事先でも、挨拶1つ出来ひん奴とかおるねん。」
「ホンマホンマ。うちのパート先でもな…。」
延々と続くゆとり世代批判が聞こえたのか、優先座席に座っていたその若い女性は気まずくなっておもむろに席を立った。
ゆっくりと杖で体を支えながら。
このおばはんどもの方がよっぽど常識外れやわ。
私は杖を突きながら席を離れて行く若い女性に声を掛けようとも思ったのだが、扉を挟んで反対側の一般座席に座っていたサラリーマンの男性が立ち上がって声を掛けている様子を見て心を落ち着かせた。
智君は気にせず外の景色を楽しんでいる。