大阪セカンドシンデレラ
ある日の事。
私はいつものように公園で通天閣を描いていた。
ふと気配を感じる。
それはてっきり智君だと思った。
「立派な通天閣ですね。」
それは、聞き慣れた智君の声ではなく、もっと大人びた男らしい声だった。
声がした方に顔を上げて向けると、穏やかな笑顔をした男性が少し屈んで覗き込んでいた。
「あっ、ごめんなさい。」
その男性は勝手に覗き込んでいた事が悪いと思ったようで、すぐに体を起こして3歩ほど後退りした。
「い、いえ…。」
「いつもここで絵を描いていますよね?」
「あ、はい…。」
「実は、ずっと前から気になっていたんです。」
「えっ?」
男性の言葉の真意が分からず、目を見開いたまま呆然としてしまった。
そんな私の姿を見て、男性は素早く顔の前で右手を左右に振った。