大阪セカンドシンデレラ
「ちょっと待ちいな。」
私が声を掛ける前に、扉にもたれて立っていた初老の男性がしもべ達に話しかけた。
「この子は何も悪くないやろ。車椅子で電車乗ったらアカンなんて誰が決めたんや?」
唐突に話しかけられて、しもべ達は口籠っている。
「駆け込み乗車したり、足の不自由なお嬢さんを無理矢理立たせたり。モラルがないのはあんたらの方ちゃうか?」
「何やねん、このおっさん。」
やっとの思いでしもべの1人が毒づいた。
しかし、初老の男性も負けてはいない。
「ゆとり世代なんて関係あらへん。若くても立派な子はいっぱいおるわ。ええ歳してそんな事も分からへんのか!」
「まぁ、なんて失礼な言い方!」
もう1人のしもべが怒りをにじませ初老の男性に近づいて行こうとしたが、肩を押えられた。
「先生。」
先生が立ち上がり、代わりに初老の男性に近づくと、深く頭を下げた。
「申し訳ございません。」
「あんたも先生と呼ばれるほどのお方なら、自分達がした事の非常識さが分かるのではないですか?」
先生は何も言わず、頭を下げたままでいる。