大阪セカンドシンデレラ
『鶴橋、鶴橋。』
「さ、先生。着きましたよ。」
「行きましょ。行きましょ。」
しもべ達は先生の肩を抱きながら、恨めしそうに電車を降りて行った。
鶴橋駅を出てすぐ。
車内でやり取りを見ていた全ての乗客が盛大な拍手を送った。
初老の男性はそんな盛り上がりに気にも留めず、智君に近づき目線を合わせるように軽く屈みこんだ。
「名前は何て言うんや?」
「智樹。」
「智樹君。君はこれからもっともっと未来へと羽ばたかなアカン子や。しょーもない事に負けたらアカンで!」
「うん!ありがとう。」
笑顔でお礼を告げると、初老の男性は立ち上がって智君の頭を撫でた。
「ありがとうございました。」
私も深く頭を下げる。
「いやいや。」