大阪セカンドシンデレラ
車内が盛り上がる中、さすがに恥ずかしくなったのか、次の駅である玉造駅で降りて行った。
ホームに降りた外にいる初老の男性に向かって、優先座席から立たされた足の不自由な若い女性が必死に立ち上がって深く頭を下げていた。
スロープで車椅子を一緒に押してくれた男性、丁寧に誘導してくれたJRの駅員、マナーについてはっきりと言ってくれた初老の男性。
まだまだ世の中、捨てたもんじゃないな。
そう思うと、涙が溢れてきた。
「ん?美紀ちゃんどうしたん?」
振り返って智君が見上げて尋ねてくる。
「ううん、何でもない。」
「僕な。」
「うん。」
「大阪好きやねん。いい人いっぱいおるからな。」
「そうやな。」
智君と一緒に電車に乗った事で私に訪れたちょっと幸せな事。
『大阪城公園、大阪城公園に到着致します。』
「さ、智君。降りるで。」