大阪セカンドシンデレラ
「あれ?着信がある。」
智君と大阪城に行ってから一週間後。
いつもの公園で絵を描こうとベンチに座り、ふと着信に気付いた。
「ゆかちゃんの店からや。珍しいな。何やろ?」
気になりながらも、後で直接店に聞きに行こうと思い、絵を描き始める。
大阪城公園からの帰り。
環状線に乗りながら、私は最後に1つ提案した。
「そうだ、智君、あべのハルカス一緒に昇ろうよ。」
しかし、智君は素早く首を左右に振った。
「僕はエエわ。」
「そんな事言わんと。前にハルカスも通天閣も昇ってみたいって言ってたやん。」
「今日はやめとく。大阪城に昇れただけで楽しかったから。」
「そう…。」
それから智君とは会っていない。
しかし、別れるまで本当に嬉しそうな顔をしていた智君が印象に残っている。
一緒に大阪城に行けて良かった…。
「あの…。」
嬉しさと懐かしさに浸っていると、声を掛けられた。
聞き慣れない声。