大阪セカンドシンデレラ
「智樹は幼稚園の頃は毎日のように外を眺めては、遊びたいって泣いて騒いていました。どれだけ私が抱きしめても泣き続けていました。小学生になると、普通の子が出来る事が自分には出来ない事に半分諦めていました。いや、全てを諦めているようで表情も変えず、抜け殻みたいな子になっていました。淡々と食事をし、外を眺めて、何事も無く1日を過ごして…。私が話しかけても頷くだけ。学校に行っても友達を作ろうとせず、ただ授業を受けているだけ。そんな智樹を私自身も母親としてどう接したらよいのか正直悩んでいました。ずっと悩んでいました。そんな智樹が…。3年生になり、学校から帰って来て、たまたま近くの公園に出掛けて行きました。帰って来てから。驚くほど嬉しそうな顔でこう言いました。『今日、とても絵の上手なお姉さんに会ったんだ。』って。」
私が初めて智君に会った時…。
『お姉さん、絵、上手だね。』
屈託のない笑顔で話しかけて来てくれた。
「それからの智樹は公園で美紀さんに会うたびにその事を家で話してくれて。それまでの無表情だった智樹は何だったのだろうって思える程で…。」