大阪セカンドシンデレラ
いつも笑顔な子だと思っていた。
明るい子だと思っていた。
無表情で諦めていたような子だったとは全く予想外だった。
「母親の私が智樹の事をもっと知る努力をして接していれば良かったのに…。」
「自分を責めないで下さい。」
「ありがとう。本当に本当に…。」
優しく手を握ってくる。
「智樹が明るく元気になれたのは美紀さんのお陰です…。」
「そんな…。」
「本当に、本当に…。ありがとうございます…。」
そして智君の母親は少し俯きながら涙を流していた。
いつも明るく振る舞っている智君。
けれど…。
傷付く事も多かったんだろうな…。
「あの…。」
今度は私が手を握り返した。
「私が智君の力になれたのなら、本当に嬉しいです。でも、感謝しなければならないのは私の方です。智君のお陰で私も楽しい思いをたくさんしました。こちらこそ、ありがとうございます。」
「そう言ってもらえると嬉しい…。」
「智君に、ありがとうと伝えて下さい。そして退院したら大阪城に必ず行こうって、伝えて下さい。」