大阪セカンドシンデレラ
「智君…。」
薄暗い空。
「ホンマ、感謝しなければならないのは私の方だよ。」
目の前でそびえる通天閣に光が灯り、ネオンが輝いている。
「早く良くなってや。待ってるからな。」
空に向かって呟くと、携帯が震えている事に気が付いた。
画面にはゆかちゃんのお店の番号。
「そう言えば…。」
さっきも着信があったな。
「もしもし。」
『美紀か?』
「ゆかちゃんが携帯鳴らすなんて珍しい。」
『今どこにおる?』
「いつもの公園やで。」
『ちょっと今から店来れるか?』
「別に大丈夫やけど。」
『急で悪いけど待ってるわ。』
「何かあったん?」
『来たら分かる。』
「あ、切れた。」
スケッチブックを閉じ鞄に片付ける。
心の中はまだ智君が入院した悲しみと感謝の余韻が残っている。
ゆかちゃん…、何やろ?