大阪セカンドシンデレラ
「あんた、今日、智君から貰ったチケットでハルカスちゃうの?」
「そうなんだけど…。」
私の歯切れの悪い返事に業を煮やしたのか、手招きしていつものカウンター席に座らせてくれた。
カウンター席に座っても自分の表情が暗いのは自覚出来ていたので俯いたままでいた。
ゆかちゃんは注文を受けていたたこ焼きをお客さんのテーブルまで運ぶと、何も言わず私にメロンソーダを差し出した。
目の前のメロンソーダの鮮やかな緑色が涙で滲んで霞んで見える。
お昼に近づいて来るとお客様が次々にやってきて、あっという間に店内は一杯になった。
1人分席を占領しているのも悪いと思い、ゆかちゃんが接客中に席を立とうと腰を浮かせた。
それに気付いたゆかちゃんは、接客の途中なのに、そこに座ってろ、と怒鳴ってくる。
静かに座り直すと、メロンソーダを軽く口に含んだ。
ソーダの炭酸が私を奮い立たせようとしているようだった。