大阪セカンドシンデレラ
「502病室の橋上麻衣さんでしょうか?」
私…、妹さんの名前知らない…。
「そ、そうです。」
取りあえず返事をすると、傍のエレベーターで行けますと案内された。
他の患者さんに紛れてエレベーターに乗り込む。
病院まで来て良かったのかな…。
何となく迷惑な気もするな…。
緊張と不安で鼓動が大きくなる。
5階に到着すると、すぐにナースステーションがあり、看護師さん達がそれぞれ忙しそうに働いている。
その奥に病室があるのだが、手前にソファーとテレビが置かれてある憩いの部屋があった。
その部屋で、立ったまま大きな窓から外を眺めている男性が目に入った。
その後姿で誰なのかすぐに分かった。
「新太郎さん…。」
私の呼ぶとも呼ばないとも思えない小さな声に反応し、その男性はゆっくりと振り向いた。
やはり新太郎さんだった。
新太郎さんは少し驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になった。