大阪セカンドシンデレラ
「私…。」
「美紀ちゃんには美紀ちゃんの思いがあったのだろうから、ハルカスの事は全然気にしていないよ。」
落ち着きを取り戻した私は再び新太郎さんの優しさに包まれる。
「智君が折角チケットくれたのに…。私なんかが新太郎さんと一緒にハルカス昇ってもいいのかな、って思ってしまって…。」
「美紀ちゃんが智君の思いを分かってないなんて思ってないから。」
駄目だ、傍に居てこんなに優しくされると、私もっと好きになってしまいそう…。
思いを伝えたい。
好き、って言いたい…。
溢れる思いが私の背中を押してくれた。
「あの…、新太郎さん。」
「何だい?」
「この前のハルカスのお詫びって程じゃないんですけど、今度もし良かったら…。」
『あんたにはあれがあるやろ?』
『あれや。うちらの守り神様や。』
「一緒に…、通天閣に昇ってくれませんか?」
そう。
私の一番好きな建物。
子供の頃から好きで見続けて、絵を描き続けている建物。
大きなガラス窓から新太郎さん越しに通天閣が目に入った。
私の視線を追って、新太郎さんも振り返って通天閣を見つめる。
「僕も通天閣は久しく昇ってないからなぁ。いつも見上げてるばかりだし。」
「私も、いつも見ているだけ…。」
「うん、いいよ。一緒に昇ろう。」
躊躇わずに返事をくれた新太郎さん。
「何時が都合がいいか決めようか?」