大阪セカンドシンデレラ



妹さんの退院の時間に病院を訪れると、花束を持った女の子を囲んで、看護師さんや新太郎さんが雑談しているのが見えた。


花束を持った女の子が妹さんだとすぐに理解出来た。


入院生活が長かったからだろうか、肌は色白でとても細く見える。


見た感じは小学生のようだ。


それでもにこやかに頭を下げている妹さんを見ると、私も幸せな気持ちになれた。



「美紀ちゃん。」



新太郎さんが私に気付いて近寄ってくれた。



「わざわざ来てくれてありがとう。」



「私が勝手に来たいって言ったから…。お邪魔じゃないですか?」



「全然。」



新太郎さんは、一度看護師さん達の集まりに戻り、頭を深く下げると、妹さんの手を取って再び近づいてくれた。



「妹の麻衣。」



麻衣ちゃんは紹介されるとにこやかに笑顔を見せてくれた。



「麻衣です。美紀さんですよね?」



「はい。」



「お兄ちゃんから聞いています。」



「聞いてるって?」



「とても絵の上手な素敵な女性だって。」



「おいおい。」



麻衣ちゃんの言葉に新太郎さんが慌てて止めた。


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