Bloody Castle




気が付くと私は、病院の裏にある森の中をフラフラと歩いていた。

……あはは、気が動転しちゃったみたい。

戻らなきゃ。戻って、ちゃんと死に顔を見て、何か声をかけなきゃ。

でも。


「―――ほんとに死んじゃったんだ」


あの顔、ただ寝てるように見えた。ちょっと揺すればまた起きるんじゃないかな。


でも、彼は死んだ。


現実を受け入れようとする気持ちと、現実から目をそらしたい気持ちが混ざって、胸が痛い。

その痛みで、涙がどんどん零れてくる。


「…………っ」


ごめん。本当は黄太の前で泣かなきゃいけないのに。

戻らなきゃ。でも、戻って黄太が死んだという事実を受け入れたくない。

制服が苔で汚れるのも気にせず、近くにあった針葉樹に凭れ掛かった。


黄太がいない人生なんて、考えられないよ……

いっそ、後追い自殺しちゃおうかな。

なんて―――
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