Bloody Castle
藍色の円舞曲(ワルツ)






「ここは……―――」


薄い紫色の花弁と甘い香りが途切れた場所は、お城みたいな洋館だった。

 周りの木が洋館を覆うように生い茂り、庭園には色とりどりの薔薇の花が咲き乱れている。



  ギギィーー……



「!!」


 玄関の重厚な扉が開き、高校生か大学生くらいの女性が出てきた。


「いらっしゃい、花ノ木 藍亜さん。森の中で貴女に話しかけたのは、私よ」


 細かくウェーブされた銀髪に、私が辿ってきた花弁と同じ色の瞳。

 お嬢様みたいなゴスロリ風の服の長い裾から覗く脚は白くて細く、長い。

 どう見ても化粧を施してないのに、奇跡のように美しい顔は、ふわりとした笑顔をたたえている。

 明らかに日本人の顔じゃないのに、何故だが外国の血を感じさせない。天国から来た天使のようだ。


(綺麗な人……)

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