Bloody Castle
紅色の行進曲(マーチ)


「よろしい。それじゃあ、ここのルールのようなものを教えるわ
 ここの住人は、皆、ギリシャ神話に出る神様の名前を使うの。コードネームみたいなものね。だから私のことも、出来る限り『ヘラ』で呼んでね」

 
 なるほど。さっきの『ヘラ様』はギリシャ神話のヘラからとったのか。


「藍亜さんは……そうね。月の女神、アルテミスなんてどうかしら?」



  スッ……



 不思議と、私にぴったり当てはまる感覚に襲われた。なんだか私は元々『アルテミス』になる運命だったような……そんな感じがする。


「『アフロディーテ』。あとは同い年の貴女に任せるわ。その方が話しやすいでしょう」

「了解です!」

「え……あの!」


 私に背を向けて、紫羽さん……いや、ヘラ様は自室らしき部屋に入ってしまった。

 部屋のドアが閉まると同時に、二階からひらりと、女の子が降りてきた。

 クルクルと巻いた髪をポニーテールにした、またもやゴスロリ系の服のお嬢様っぽい可愛い女の子。

 ヘラ様は美しいって感じだったけど、この娘は可愛いって感じ。
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