怪盗ダイアモンド
「あれ?」
「どしたの、阿弓?」
「出入口、どこだったっけ?」
「え?」
あれ?出入口が消えてる……?!
「出入口が……消えてるううぅぅーーー!」
亜希乃が私と阿弓の気持ちを代弁した瞬間。
「バッカタレェ!静かにしろ!つまみ出すぞ!」
ゴチンと亜希乃の頭に拳が飛んできた。
亜希乃のパパさんだ。
「だだ、だって、ダディ!」
「そういう構造なんだよ、怪盗ダイアモンドがすぐに逃げられないようにな」
「なるほど、そういうわけですか……それで、出口は何処に?」
「阿弓ちゃん、後ろにある壁、掌で触ってみ」
言われた通りに阿弓がペチッと右手を壁に押し付けると―――
ガガガーッ
開いた。
「おおお……」
「この建物はゆっくりと回転しててな、出入口が警察以外わかんねーようになってんだよ。また外に出たかったら俺に言え。次でかい声出したら承知しねーぞ」
阿弓がトイレに向かい、亜希乃がそれに付いていった。
ラッキー!これで楽に偵察ができる!
「……!!」
ふと、上から差し込む虹色の光が気になって顔を上げてみると、天井がステンドグラスで出来ているのに気付いた。
「ふおぉ……」
女神様が空へ輝く光を手に取ろうと、腕を前に伸ばしてるようなデザインになってる。
神々しくて、綺麗。
……ん?もしかしてこれは……
「ふいーっ、ただいまー」
「蝶羽!ついでにジュース買ってきたよー……あれ?何ニヤニヤしてんの?」
阿弓と亜希乃が帰ってきた。
「え?私ニヤニヤしてる?ステンドグラスが綺麗だったから、頬が緩んじゃったのかな」
「あ、ホントだ!」
「何あれめっちゃ綺麗!」
どうにか誤魔化せた。あとはコレを利用すれば……いけるかも!