怪盗ダイアモンド
そして、予告通りの新月の夜。
猫耳付きシルクハットに懐中時計、フリル付きでアーガイル模様の長めなジャケットに端を折ったハーフパンツ。
それと、白黒ボーダーのニーハイソックスとブーツ。
試着した時と同じスタイルの上に、黒いマントを羽織って、夜に紛れたスタイルで私は母さんと一緒に博物館の近くの林の中に身を潜めていた。
「良い?蝶羽。私がブレーカーを落とした後、貴女は一番人目につく所へ立って。それから……」
「母さん、それ聞いたの三十八回目」
「だって!心配なんだもん!」
自分が半分強制的にやらせたんでしょーが……
でも、少なくとも今の私は、完全に『怪盗』になってる。
もう普通の女子高生、白鳥 蝶羽じゃない。
やるかと決めたからには、本気で真剣にやるつもりだ。
「大丈夫だって!私の作戦通りいけば、きっと、いや、絶対盗れるよ!」
私は人目を忍んで、林から博物館へ素早く走った。
「……油断しないで、頑張るのよ」
母さんの声が聞こえた気がしたけど、風の音で掻き消されてよく聞こえなかった。