怪盗ダイアモンド
アイリ
★★★
一方、その頃。
「……」
阿弓と朝妃が博物館の展示室へ向かった時。
外壁に背を預け、小型のノートパソコンを開く小さな人影があった。
パソコンのブルーライトが、まだ幼い顔に反射し、少しだけ不気味に映る。
TGGのリーダー、IQ3260の頭脳を持つと言われている超天才児、愛李である。
「白鳥家の呪い……エインセル……ふぅーん、大変だなー」
何やらブツブツと独り言をつぶやきながらも、キーボードを打つ手は休ませず、画面を見る目は、少しもよそ見をしない。
「……!これは……」
しばらくすると、彼女の手が、ピタリと止まった。
視線の先には、一つのサイトが開かれている。
「……面白いことに、なりそうだねぇ……」
少しだけ怪しく微笑んでから、彼女はパチンとパソコンを閉じた。
「ふふっ、捕獲装置、作動させないでおいて正解だった。
……やっぱり私……」
「あ、ちょっと!リーダー、サボってんの?片付け手伝ってよ!」
窓から顔を出して、夕璃が叱る。
「……あー、ごめんごめ~ん、今行くよ!」
夕璃の方を振り返ったその顔は、もう歳相応の無邪気なものに戻っていた。