怪盗ダイアモンド

★亜希乃、モテ期到来?!








「「はぁ?!ラブレター貰った?!」」



あれから数日後、音遠くんの妹の事が有耶無耶になって忘れかけた頃。

のんびりと昼休みに屋上でお弁当を食べてたら、亜希乃の口からとんでもない言葉が飛び出た。

阿弓がお兄さん(今回は二番目のお兄さん)手作りのお弁当をひっくり返しそうになり、私は卵焼きを落としそうになる。

「えっへへ〜♡そーなんだよ〜♡♡♡今朝下駄箱の中に入っててさ〜♡♡♡」

私と阿弓は思わず顔を見合わせる。

幸せそうに両手を頬につける亜希乃は、本気で本当に嬉しそう。

だけど……

「嘘でしょ……亜希乃が?」

「どっかの男子のイタズラじゃね?」

「誰かと下駄箱間違えたとか」

「ドッキリだったりしてな」

「果たし状の可能性も捨てきれない」

「水で濡らすと水性ペンで書いた文字が消えて油性ペンで書いた文字だけが残る的な暗号文かも」

「ちょっとー!!なんで二人共信用してくんないのー!!?そっちのが有り得なく無いー?!」

私も阿弓も信じられなかった。


この娘、須永 亜希乃(すなが あきの)は、いつも元気に笑っているクラスのムードメーカーだ。いつも警部の娘とは思えないくらいのはっちゃけっぷりを披露している。

亜希乃を嫌う人間なんて存在しないと思えるくらい、男女問わず友達が多くて、人気者だ。

でも、顔はそこまで良いほうではない。ブスって訳じゃないけど、特別美少女でもない。いわゆる普通、平凡なのだ。

だから人気があっても、告白されたり彼氏がいたり、それどころか恋愛対象で見られたことすら一度も無い。

中学時代からの親友である私が言うんだから、間違いない。

イタズラでも間違いでもドッキリでもないとすれば……

私は亜希乃の肩に、ポンと優しく手を置く。

「亜希乃ぉ、きっとそれは夢だよ。あんたがあまりにもモテないあまり見てしまった、幻覚だよ」

「そうだそうだぁ、アッキー、さっさと目ェ覚ませ〜〜〜」

阿弓も同じ考えだったみたい。デュクシデュクシと指先で亜希乃の頬を突きまくる。

「んもー!!なんだよー!!ほんとなんだってば!!そこまで言うなら、証拠見せてあげる!!」

亜希乃は鞄からクリアファイルを取り出し、その中から手紙を大切そうに取った。

淡いピンク色の封筒が、リボンの形の赤いシールで止めてある。
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