怪盗ダイアモンド
「あ、すみません、御挨拶が遅れました。榊さん達の学校の教育実習生の、瀬川 紅一と言います」
「あっれぇー、先生目指してんの?!俺ね、小学校の教師やってんだー☆外月(ういづき)小学校ってとこの、四年生クラス担任〜!」
えっ、初耳。全然教育者には見えない。やっぱり人は見かけによらないんだなぁ。
あ、でも、こんな人懐っこい犬みたいな性格なら、子供から人気があるのかも。そこは納得出来る。
「おや、そうでしたか!それではいずれ、職場で御一緒出来るかも知れませんね」
「んー、小学校と高校じゃなかなか接点無いかもだけど、教育関係の会議とはでは一緒になれるかもね!そん時はよろしく☆」
「はい、よろしくお願いします☆」
教師と教師の卵は、ガッチリと握手を交わした。
な、なんだか思わぬ所で共通点を見つけちゃったな……ん?
音遠くん、さっきからぼーっとしたままだ。
―――あぁ、そうか。音遠くんも颯馬さんと一緒で、ほとんど面識が無いから緊張してるのか。
颯馬さんはあのキャラだから平気だろうけど、音遠くんは違うよね。
私は声をかける。
「音遠くん、ごめんね。こういうノリ苦手だった?」
「え?あぁ、いや、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
「ねぇ蝶羽ー!!その人が、蝶羽の彼氏くん?」
亜希乃がジロジロと音遠くんを見やる。
こらこら、珍しいオブジェじゃないんだから、そんなに見るんじゃない!
「そ、そうだよ!私の彼!」
カップルっぽく見えるよう、私は音遠くんとの距離を一歩詰めた。
「初めまして。日ノ宮 音遠、高校三年生です。君の事は蝶羽ちゃんから聞いてるよ、よろしくね」
「へーっ、結構なイケメンさんじゃん!!なんだよ蝶羽ぁ、早く言ってよね!!自慢しちゃって良いんだから!!」
「あははっ、ありがとう。須永さん」
「亜希乃で良いよ〜!ていうか、あたしと蝶羽と阿弓と音遠くん、同い年なんだから仲良くしよ!!」
「うん、よろしくね」
亜希乃がバシバシと音遠くんの肩を叩く。
ちょっと痛そうだったけど、仲良くなれそうで良かった。