怪盗ダイアモンド
★私が犯人?!
「あ、これかな?ここのメインの絵」
亜希乃が指さしたのは、白い兎を追いかける女の子の絵。
結構大きい。学校の黒板の四分の一くらいの大きさかな。
兎は二足歩行でモノクルをしていて、女の子は水色のエプロンドレスが良く似合う。
さっきの絵とは違って、見てて心が晴れやかになる絵だった。
「タイトルは『Alice』だって!蝶羽の大好きなアリスじゃーん」
確かに私は前にも言った通り、『不思議の国のアリス』が大好き。
でも、今は絵よりも注目しなきゃいけないところがある。
私は額に目を向けた。
お姫様のティアラのような、宝石が沢山ついたデザイン。その上の方には大きな宝石が嵌め込まれていた。
「おい、皆とはぐれるからチャキチャキ歩け、この愚兄」
「え〜、きゅーちゃん冷たぁい〜」
「誰がきゅーちゃんだ!」
「仕事で疲れてんのよ俺〜」
「じゃ、家で寝てろ!そんで一生起きんな。チケット一枚ゴミになる方が良かったわ、クソっ!」
聞き慣れた声が近づいてきた。
飽きたのか、気の抜けた顔をした颯馬さんと、それを引っ張る阿弓。
駄犬の散歩してるみたいで、ちょっと面白い。
「颯馬さん!阿弓!」
私は二人に手を振った。
二人も振り返す。
「颯馬さん、さっきのきゅーちゃんって何ですか?」
「阿弓の渾名だよぉ。昔は阿弓の『弓』の字をとって『弓(きゅう)ちゃん』で、『きゅーちゃん』って読んでたのー!うちの六男、透馬(とうま)が考えたんだよー」
なるほど。上手い。
「この絵、見てたのか?」
阿弓が亜希乃に聞く。
「うん!阿弓も良いと思うよね?この絵!」
「あぁ……なんか、この女の子アゲハ嬢に似てるし」
「え?」
そうかな?