怪盗ダイアモンド





「まずは容疑者のリストアップが先かなぁ」

阿弓が前に貸してくれた探偵漫画では、まず最初に容疑者の一覧が出ていた気がする。

証拠を見つけるのも大事だけど、今どんな人がいるのか、ここに何人いるのかも大事だよね。

名前とか元々知ってる人は……

(以下敬称略)







まず私、『白鳥 蝶羽(しらとり あげは)』。

そして、『日ノ宮 音遠(ひのみや ねおん)』。

『榊 颯馬(さかき そうま)』と『榊 阿弓(さかき あゆみ)』の兄妹。

それから『須永 亜希乃(すなが あきの)』。

教師の卵『瀬川 紅一(せがわ こういち)』と、若くしてこの美術館の館長『瀬川 蒼二(せがわ そうじ)』の双子の兄弟。








一応信頼出来るのは、自分を含めて七人。

残りは……

「私は『Irene Le mystère(イレーネ・レ・メステール)』。フランス国籍で……背は低いけど、これでも成人済みよ」

さっきの金髪碧眼の女性が名乗った。

低身長を気にしてるのか、誤魔化すように髪を揺らしてる。

「真砂 満之(まさご みつゆき)。真犯人を見つけられるなら、捜査に協力しよう」

最初に私達を疑ったオジサマに続き、捜査に協力するため、皆次々に名乗ってくれた。

「でも、殆どの皆がアリバイや証拠になる物事を持ってたり行ってたりしてたから、怪しいのはイレーネさんと真砂さんかな」

誰にも聞こえないような小声で、私は音遠くんに伝える。

さっき他人をしきりに疑って、罪を擦り付けようとしてるようにも捉えられたし。

「うん、それは僕も同感だけど……僕、実は一番颯馬さんを疑ってるんだ」

「え?酷いよ!私の親友のお兄さんなんだけど?!」

「でもさ……」

いくら不審な動きをしてたからって、そんな事する人だと思いたくない。

でも、さっき私にかけた液体……

私はまたスマホを弄り始めた颯馬さんを眺めた。

怪しい人には見えないけどなー……?


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