怪盗ダイアモンド
「亜希乃」
「え?!あたし?!あたし犯人じゃないよ!!」
「いや疑ってないから、大丈夫だから!……亜希乃、ヘアピンはどうしたの?」
亜希乃はここに来た時、ヘアピンを付けてた。
三つ付いてたのが、今は二つになってる。
「あれ?……ホントだ、どこやったんだろ」
「今ないヘアピンって、どんなのだったか自分で覚えてる?」
「付き合い始めた日の放課後に、瀬川さんに貰ったやつだよ。細長いトンボみたいな形」
手鏡を見ながら確認する亜希乃。
貰い物なら覚えてるだろうから、多分間違いは無いね。
「それで、絵はどこにあるのよ?勿体ぶらずに教えて欲しいわ」
イレーネさんがイライラと眉を釣り上げる。
高校生探偵ーって提案してきたの、アンタでしょ。
まぁいいや。教えてあげよ。
「音遠くん」
「了解」
ガコン
音遠くんはさっきと同じように壁を動かし、絵画を出した。
私と音遠くん以外の皆が、驚きの声をあげた。
「あっ……!?」
明らかに館長さんは動揺してる。
もう確定だね。
「こんな仕掛けが施せるのは、館長である……いや、恐らく本物の館長さんである田鹿さんをどこかに拉致して入れ替わった、貴方だけでしょう」
「……証拠は?証拠はどこにあるんですか、何故そこまでして私をお疑いになるんですか?第一、私は絵が盗まれた時、その絵画の場所にはいませんでしたよ?な?紅一兄さん?」
「はい、私と一緒でした」
心なしか怒気が篭った声が、館内にゆっくりと響く。