怪盗ダイアモンド
私も、皆も、その場から動けない。
どうしよう……阿弓を助けたいけど、この腕じゃ無理だし。
音遠くん……は、とりあえず私を止血したいみたいたけど、館長さん(偽)の拳銃を警戒してる。
確かにまた撃たれるかもしれないからね。今度は腕じゃなくて心臓に。
他の人は……お年寄りとかばっかで、助けられそうな人がいない。
アレコレ考えてるうちに、出口の自動ドアが開いた。
すぐ外に止めてあった車に、二人は阿弓ごと乗り込もうとする。
「じゃーね〜♪」
パァン!パァン!
「がっ!?」
「いぁ゛っ?!」
また拳銃の音。でも今度は二発。
しかも撃たれたのは瀬川兄弟……
え、誰?!撃ったの?!
「いやー、本当典型的だけどアホな逃走劇だね。拍手送る気にもなれねぇわ」
そう言って、撃った彼はスポーツウェアのポケットから手帳を出した。
「さっきは自己紹介が足りなかったね!はいどーもー。T県警、広域特殊犯罪特別捜査官、榊 颯馬でーす」
えええぇぇ?!
本人以外の全員がビックリする。
こんな美術館にスポーツウェアで来る人が警察なんて、誰が予想できただろうか。
「け、警察の人だったの?!颯馬さん!」
亜希乃が驚きの声をあげる。
「そだよ。あれー、阿弓から聞いてなかった?」
聞いてない!!