怪盗ダイアモンド
ファンファンファンファン―――
外からサイレンの音が聞こえる。
パトカーだ。
「颯馬さん……疑ってすみませんでした」
颯馬さんが上司に事件の内容を報告する為、警官の所へ行こうとした時。
音遠くんが頭を下げた。
「いや〜、発砲していいかしつこく上に聞いてた俺も俺だったからね。気にしてないから大丈夫だよ」
ヒラヒラと軽く手を振る颯馬さんは、やっぱ警察に見えない。
「ってか、颯馬兄さんが無線でさっさと須永警部に連絡しときゃよかったんだよ。娘の亜希乃が関わったんだからソッコーで取っ捕まえられたじゃん。スマホなんか使ってっから容疑者に入んのに」
さっきの戦闘で疲れたのか、阿弓が兄に当たる。
「無線なんて使ったら、すぐ俺が警察だってバレただろ。アイツら、これが初犯じゃないからね」
「え、そうなんですか?」
榊兄妹がいたから良かったものの、いろんな場所で『アレ』が行われてると思うと恐ろしい。
「知らない?……あ、ニュースじゃあんま取り上げられてないもんね。通称『ダム&ディー』って呼ばれてる二人組の美術品専門の泥棒なんだよ」
へー……始めて聞いた。
「盗む為なら手段を選ばない奴でね。あの美貌を利用して、今までもたくさんの女性を騙したらしいよ〜……多分、亜希乃ちゃんも警部の娘だから利用したんじゃねーかな……あ」
呆然と外のベンチに座ってた亜希乃の耳が、ピクリと反応した。
「そ、颯馬さん……地雷踏みましたよ」
「……ぽいねぇ」
亜希乃は珍しく無表情で、パトカーの方へ歩いた。
「ほら、チャキチャキ動け」
阿弓に殴る蹴るされてボロボロの泥棒双子が、フラフラと警官にしょっぴかれてる。
「すみません、ちょっと待ってください」
「え、何?一般の人は……」
「どうも、T県警捜査一課、須永 庄太郎の娘の須永 亜希乃です」
「あ、あぁ!須永警部の!」