怪盗ダイアモンド
またまた音遠side
「『ネオン』」
事情聴取されまくって、疲れていた夕方の帰り道。
誰かが僕を呼んだ。
金髪碧眼の低身長女性。
あ、さっき美術館で一緒にいた人……
確か名前は、イレーネさん。
「まだ分かんないの?そんな不良品に『作った』記憶は無いけど」
「その声……!」
イレーネさんがウィッグとカラコンを外すと、僕がよく知る人物の姿になった。
「あ、『マスター』……」
「本当はあんまりその呼び方で呼ばれたくないんだけど……まぁいいや。ちょっと大事な話があるの」
「今?帰ってからじゃダメなの?」
彼女は近くの公園を指さした。
「たまには外に出た方が良いって言ったのは、あんたでしょ。ちょっともう少し風に当たらせてよ」
「それで、何の話?」
側にあった自販機でコーヒーとミルクティーを買う。
ミルクティーをベンチに腰かけてた彼女に手渡した。
僕も隣に座った。
「『不具合』が起きてるの」
「不具合?」
缶が上手く開かないみたいで、カシカシと指で何度も引っかいてる。
「心拍数が高くなる、体温が上昇する、ホルモン分泌量が多め……とか、色々ね」
「えー……」
僕にそれを言われても。
彼女のミルクティーを取り、代わりに開けてあげた。