怪盗ダイアモンド


『単純過ぎたか……』

「まぁ洒落が効いてて面白かったよ」

ヒヒッと笑ってやった。

「あ、そうだ。お前の『弟』の事だけど」

『あぁ、それなら大丈夫だったよ。問題なかった』

「なら良いんだけど」

『あ、そうだ、ちなみに、本物の美術館館長さんは美術館裏の倉庫に拉致されてたってさ。擦り傷程度の怪我だから、大丈夫だって』

「そっか。良かった良かった。じゃ、研究も程々にな」

『うん、ありがと』

「用件はそれだけ?ぶっちゃけ今『カミドルっ!』のイベント『〜唐市神社の神隠し〜』プレイしてる最中だから戻りたい」

『あぁそうかい。邪魔したね』

呆れた声が聞こえてきた。

「じゃ、程々にね」

『うん、頑張る。ありがと』

「じゃねー」


ピッ


「ファッ!?えっ、嘘だろ?!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙コンボ達成出来なかったじゃねーかあのチビいいぃ!!!」

通話ボタンを着ると、すぐにゲームが再開されてしまい、惜しくもコンボを逃してしまった。

クソッ、あいつめ……!



「何騒いでるの、阿弓?ご飯出来たから食べよ?」

颯馬兄さんの奥さん、玩子(もとこ)が呼ぶ。

「今行くー!食べるー!」

玩子、通称モト義姉(もとねえ)の作る料理は、プロ顔負け。

これを食べないのは、大金をドブに捨てるくらいもったいない。

それに、うちにいる六人の兄+義姉二人+居候の未来の義姉がいる。

自分の取り分がなくなる!

私は居間に全力で走った。






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