君と花を愛でながら

「……すみませんでした」

「ん?」



私の突然の謝罪に、片山さんは意味が分からないという体で首を傾げる。
そんなとぼけなくていいので、本当にもう許して欲しい。



「わかってます、あの時、聡さんと一緒に並べて信用しないなんて言ったから、まだ怒ってるんですよね?」



だから、こんな風にからかうんだ。
確かにあの時は、カチンときて失礼な言い方をしてしまったかもしれない。


だけどそれは、無防備だと言われて図星を刺された気がしたからで……つまりあれは私の八つ当たりだ。
折角片山さんが忠告してくれたのを、素直に聞けないのは良くない。



「これからはちゃんとお客さんにも警戒しますし、片山さんのことだってちゃんと信用してます。だからもう許してくださいよぅ」



正直本当に、嫌がらせのように甘い空気を日々作られるのは心臓にも胃にも悪い。
だから、両手を組み合わせれ祈るようにして、半泣きでもう一度片山さんに謝ったのだけど。


ぽかん、と数秒呆けていた片山さんが、やがてがっくりと脱力した。



「いや、別にそんなこと怒ってないけどね」



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