君と花を愛でながら
「嘘ですよ、からかってばっかり」
ほんとお願いだからやめてください、と念を込めてじっと睨んでいると、片山さんがうなだれたまま眼だけを上向けて苦笑いをした。
「綾ちゃんこそ、わざとやってる?」
「え……」
「わざと、わかってないふりしてる?」
まっすぐに見つめ返されて、どくんと胸が高鳴った。
別に、わからないふりをしてるわけじゃない。
ただ、あの言葉を本当は、もっと深く考えるべきなんじゃないかって……そう思うのが、怖いだけで。
返事もできず黙り込んでしまったけど、片山さんは私の表情で何かを読み取ったらしい。
「まあ、いいけどね。丸きり信頼されるよりは、そうやって意識される方がマシ」
「別に意識なんかしてません」
「そう?」
片山さんは、どこまでも自信に溢れた目をしていた。