君と花を愛でながら

「なんですかその顔」

「可愛いなぁと思って」

「だから……」



からかわないでくださいってば。
そう抗議しようと思ったのに。



「好きだよ」



って、もう何度か聞いた言葉で遮られて、何度聞いても狼狽えてしまう私は子供過ぎるのかもしれないけど。



「そういう、ちょっと臆病なとこ」



なんていつも後から付け足すから、真意がいつもわからなくなって困惑する。



「も、いいです。マスター待ってますから戻ります」



怒ったフリで逃げてしまうしか、私にはスキルがない。
そんな私を理解してるみたいに、片山さんはいつも表情を崩さない。

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