君と花を愛でながら

次の休みは、もうすぐそこ。
三日後だった。



「えっと……」

「いや?」



悩む前に、考える前に頭が混乱する。



『考えるより 産むがやすしっていうわよ?』
『信也くんは、結構気遣い屋さんですよ』



お姉ちゃんや一瀬さんの言葉が頭の中でリピートされて、「はい」って答えなくちゃいけないような気にもなってくる。



「行こうよ、ひまわり畑」



作業台に置かれた広告には一面のひまわり畑。
黄色に触れる私の手に、片山さんの手が重なった。


そのとき、後ろでコンコンとノックをする音がして。



「信也くん。デザートプレート二つ、紅茶シフォンで」



一瀬さんの声が、聞こえた。

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