君と花を愛でながら
びくんっ!と背筋が伸びて慌てて振り向いた。


見られたくない、咄嗟にそう思ってしまったからきっと私はかなり慌てた顔をしていたと思う。


それなのに、厨房とホールとの境目のカウンターで顔を覗かせる一瀬さんは至っていつも通りの無表情で、淡々と動じることなく片山さんを窘めた。



「デートのお誘いは仕事の後にしてください」

「へぇへぇ」



慌ててるのは、私だけ。
しかも、助けてもくれない……んですか。


そのことが、自分でも驚くくらい、ショックだった。



「……綾さん?」



私と目が合ってはじめて一瀬さんの無表情が崩れる。
代わりに浮かんだ困惑顔に、また一層、胸が痛んだ。


私は一体、どんな顔で一瀬さんを見ているんだろう。

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