君と花を愛でながら

「キモいは酷くない? 愛ちゃん」

「だってキモイもん。来るもの拒まず去る者追わずで好き放題のあんたが今更何言ってんの」



鳥肌たっちゃった。
とか言いながら、俺から少し距離を取るように身体を傾げて二の腕を擦る。


憎まれ口叩くのはいつものことだけど、この子はもしかしたら俺のこと好きなのかも、と過去に思ったことがあるのを撤回したくなった。


どうやら気のせいだったらしい。


愛ちゃんは女友達の中の一人で
家が近いこともあってか、割と頻繁に会う。


さっぱりした性格が女特有のねっとり感がなくて、結構好みではあるんだけど。


人を好きになる、ということと
好みとは案外直結しないらしい。


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