君と花を愛でながら
俺みたいにになんとなく生きていくよりも
彼女みたいに逐一額面通りに受け取って、逐一ショックを受けて悩む方がずっとしんどいに決まってる。


そんな綾ちゃんを見てると
俺もちょっとは、心を入れ替えるべきかな、と思っちゃったんだよ。


「だから、まずは色々と整理整頓しようかと思って」

「……あんたそれ。人を小馬鹿にしてるって気付いてる?」



さっきまではちょっと不機嫌な程度だった愛ちゃんが
急に怖い顔で睨んでくる。


別に馬鹿にしてるつもりはないんだけど。



「なんで? なんも変わらないまま綾ちゃんに言い寄る方が馬鹿にしてる気がしねえ?」



本気でわからなくてそう首を傾げると、愛ちゃんはますます怖い顔で溜息をついた。



「……それが馬鹿にしてるっての。わかんないなら一生そのままでいれば」



そう言って、ホテルに向かうことは諦めたのかバッグから煙草を取り出して火をつけた。



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