君と花を愛でながら
愛ちゃんと飲んだ日の帰り道
彼女が歩きながら煙草に火をつけたので


行儀が悪いと窘めたら
バツの悪そうな顔をして道の端に寄った。



『そんな嫌そうな顔しないでよ』

『男で煙草吸わない人ってさ、まるで愛煙家を親の仇みたいな目で見るのよね』

『それこそ偏見でしょ』



別に、他人が吸う分には俺はなんとも思わない。
だけど、煙草のイメージアップを計ったのか愛ちゃんが煙草にも花言葉があるのだと胡散臭いことを言い始めた。



『ほんとだってば! 煙草って別名思い草って言ってね』

『へえへえ』



むっと唇を尖らせていた愛ちゃんが、ふと真面目な顔をした。



『あなたが居れば寂しくない』


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