君と花を愛でながら
「綾ちゃん、綾ちゃん」
私から見ても、とてもお似合いだ。
考えてみれば私は一瀬さんの何も知らない。
「……おーい」
煙草吸うことも知らなかった。
……毎日、閉店して私達が帰った後。
二人は、どうしてるんだろう。
夜……は。
「……無視しないでよ」
「ふあっ?」
頬を軽く抓られて、痛くはないけれど驚いて変な声が出た。
顔を上げると、ちょっと拗ねたような片山さんの顔がすぐ目の前にあり。
「……元気ないよ?」
「いたたたたたやめてください」
頬をつまむ指が、少し強くなった。