君と花を愛でながら



「綾ちゃん、綾ちゃん」



私から見ても、とてもお似合いだ。
考えてみれば私は一瀬さんの何も知らない。



「……おーい」



煙草吸うことも知らなかった。


……毎日、閉店して私達が帰った後。
二人は、どうしてるんだろう。


夜……は。



「……無視しないでよ」

「ふあっ?」



頬を軽く抓られて、痛くはないけれど驚いて変な声が出た。

顔を上げると、ちょっと拗ねたような片山さんの顔がすぐ目の前にあり。



「……元気ないよ?」

「いたたたたたやめてください」



頬をつまむ指が、少し強くなった。

< 158 / 277 >

この作品をシェア

pagetop