君と花を愛でながら
「おはようございます。仕事をしてただけでしょう」
不機嫌な片山さんの声に、一瀬さんがすっと顔を無表情に戻して立ち上がる。
近くに用意してあったごみ袋を広げると、「手伝います」と言った私の手を制してさっさと新聞紙の球体を袋に詰めて裏口へと向かってしまった。
急によそよそしい態度になったのは、片山さんが変な言い方をしたせいだ、きっと。
恨みがましく片山さんの方を見れば。
べっ、と舌を出して返された。
おっ……大人げない!
その態度に呆気にとられているうちに、片山さんもさっさと番重を抱えたままカウンターに入ってしまい、私一人だけ花の商品台の前に取り残されてしまった。