君と花を愛でながら
ふ、と溜息を落とす。
結局向日葵畑の帰り道、私は片山さんの告白に返事をしようと何度も話を切り出したけれど、聞き入れてはもらえなかった。



『ちゃんと考えて欲しいのに、たった一日で答えを出さないでよ』



と、片山さんは言う。
そう言われると、すぐに返事をするのは真剣に考えていないということなのかと罪悪感を抱いてしまって、後は片山さんのペースだ。


一緒に晩御飯まで食べて、最後はちゃんと家まで送ってくれたけど。
別れ際に、今度は頬にキスをされた。



『……ちょっとずつ。一緒にいれば、馴染むかもしれないでしょ』



そう言った片山さんは笑っていたけれど、余り嬉しそうでもなくその事が私の胸を締め付ける。


なんで、私なんだろう。
片山さんがそこまで想ってくれることが、私にはわからなかった。

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