君と花を愛でながら

「話って?」

「綾ちゃん、もしかして店辞めるの?」



唐突に思えるその話題だが、片山さんをそう思わせた原因には覚えがあった。



「あ、新しいバイトさんのことですか?」

「そう。今日ホールのバイトで一人面接に来てただろ」

「昼間に入ってもらう方です。私、春から専門学校に通うことになったので……でも夕方からお店入りますよ」



早く大人になりたい、追いつきたい。
埋められない年齢差なら、私はせめてもっとお店の役に立つ人間になりたかった。


今よりもっと専門的な知識を得て、独学でなくちゃんと勉強して自信を持って花束やアレンジメントをお客様に提供したい。


フローリストと、名乗れる自信が欲しい。
そう考えた結果だ。

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